第4分科会 外国語教育 概要報告
英語を歌にのせて −Let's feel the sound of Emglish harmony−
記録者 牧石小学校 教諭 和気 敬二
1 実践の概要
英語を使って教科と関連させてできないかと提案され,授業をした後,あれはどんな意味があったのか考えてまとめてみた。
2 本論
(1)国際理解教育の視点
「異文化理解・自己の確立・コミュニケーション能力の育成」の3つを見たとき,音 楽とぴったりした。外国の音楽は外国の文化。自分の国の音楽,文化を知らなければ紹 介できない。つまり,音楽を知ることは,異文化理解そのものである。
音楽に国境はないと言われるが,国境はある。五線に書いた音楽はちょっと打ち合わ せをすればセッションもできるようになる,相手の曲も演奏(コラボレーション)する ことができる。しかし,和太鼓のようなテンポは記譜できない。
(2)音楽って何だろう?
厳しい生活を和らげるための労働歌,祭りの音楽,つまり生活の中からできた庶民の 音楽は素朴で飾り気がない,しかし,貴族の一部の上流の人の音楽,例えばルネッサン ス,バロックと呼ばれるものは生活の音楽とは違う。しかし,これらが後に世界に広が っていった。
右脳と左脳の振り分け方は日本語の使い方になっている。母音,子音どちらも左脳に 入っている。その分,英語の習得はアジアの中でも低い。
音楽の三大要素「リズム,旋律,ハーモニー」,また,音階を考えたとき,新しい校 舎を造るときは,階段を鍵盤のように造ってほしい。今頃は音階にこだわって作ってい る。(鍵盤ハーモニカを使いながら,外国映画の「ウエストサイドストーリー」, 日 本の曲を陽音階と陰音階に吹き分けながら実演をする)これらから分かるように,ドレ ミが一般的だが,ドレミだけではない。
(3)英語の歌と日本の歌
ハッピーバースディの楽譜を見て,英語の単語は一音ずつ当てはめているが,日本語 は一つの音に入れられない。しかし,滝廉太郎は2番目の所で日本語に合うように音を 変えている。桑田佳祐の曲も例に挙げ,ウニャウニャと入れたいときには,英語を入れ ている。跳躍音階を入れている。
ドレミの歌を日本語で歌うと言葉が固定されてしまう。映画(サウンドミュージック) の中で「一つの音に1つの言葉さえ入れれば,歌ができる」という台詞があるが,まさ にその通り。
(4)授業実践紹介
スイカの名産地を三度でハーモニー,「こげよマイケル」ハレルヤの所でハーモニー。 エーデルワイスをALTと一緒に歌詞を言い,ALTに先に言ってもらい歌い,下の節 を練習し,好きな方を歌いハーモニー。(ビデオを見ながら解説を聞く)
ALTは,若くて英語のことを語ること,エーデルワイスのでているサウンドミュー ジックの映画を見ていなかったので,アメリカのことを深く掘り下げることはできなか った。
右脳と左脳について,音楽を聴きながら英語を聞くとリラックスして,両方の脳でク ロスして聞くのでよいのではないかと思っている。
3 質疑応答
Q1 VとかFとかの基本的な発音はやっているか。
A1 1時間どうやっているか良く知らないが,アドバ イスをもらったり,ゲームの中でやっている。
Q2 週一の英語活動で音楽の時間に来てもらっている のか。
A2 単学級なので調節してやりくりしている。
Q3 ALTによっては,音楽・歌の得意な人,ゲーム の得意な人もいるし,そうでない人もいるようだが,どのように配慮しているのか。
A3 歌って踊れるALTがほしいが,できるとは限らないので,その人にあったやり方 で考えている。
意見 日本は幼稚園から音楽をやるが外国では,あまりやっていない。日本人の方がマイ クをもつ人が多い。パフォーマンスも控えめな外国人がいる。
Q4 低中高でおすすめの英語の歌(ゲーム)を教えてほしい。
A4 動作の入ったCDがある。ALTはベルリッツの人で持ってきている。
4 指導・助言 (助言者 岡山市教育委員会 新しい教育推進課 次長 角田みどり)
外国語の部会だが音楽教育についても楽しく参考になった。英会話活動の導入ということで,英語活動のねらいは,手段としてのコミュニケーション能力の育成。意欲態度の育成。異文化に触れて国際理解を深めていくこと。大事にしたいことは,身近な英会話を使う。発音,耳を通しての発音を大事に(フォニック)。体験活動・疑似体験を重視,役割分担をしながら進めていく。「英会話を楽しむ 親しむ 慣れる」は,はずさないように指導する。
岡山市の現状では,週一時間から,一年に2〜3時間の学校もあるが,取り組みをしている学校は51校ある。
今後の課題として,3つの課題を大事にしてほしい。@3年から6年の指導内容の系統化,計画を立てることA教材・教具の工夫開発,視覚的に訴えるもの−絵を見て視覚的に獲得していくカード等を工夫開発していくこと,B指導方法の工夫・開発,である。
各校で悩んでいるのは,ネィティブスピーカーの獲得ではないか。指導形態を考えた時,
@ALT・JTL・HRT, AALT・HRT,
BJTL・HRTCHRT,の4タイプが考えられる。最終的にHRTだけがするのなら,CD,DVDをふんだんに活用しながら指導していくのではないだろうかと想像できる。
今後は,年計のタイプが@英会話学習を中心としたタイプ,A教科・行事と関連したタイプが考えられる。イマージョン教育として,ノートルダム清心大学の付属小学校でかなりハイレベルな授業をしている。(英語だけで教科指導をすること)
今日の授業で良かったことは,英語の歌そのものが異文化理解であること。先生の指示は,簡単な英語で話している。簡単な英語は普段の中でつかるよ,分かるよということが見たれたこと。ジャパニーズイングリシュではなく,きれいな発音(フォニック)を耳から覚えていたこと。音楽科と英語活動を融合させていたが,音楽科の目標も達成できていた。
今後は,家庭科で外国の料理を作ってみる。教科の目標を達成しながら,中身を外国の料理にする。図工−ALTの作る図工−リンゴをかじって1〜3回ぐらいをアニメにする方法。国際理解教育の柱3つを考えてみたところ,第一は,歌から入っていくことは○。必要感に応じて無理なくすること。第二は,表情・表現豊かな表現力はコミニュケーションの要素になる。第三は,発表の場,学習発表会,簡単な英語で使える場を確保していくこと。